3度目の根管治療
今回のオリンピックの日本人選手の健闘に感動していた今日この頃です。
次回の東京オリンピックが今から楽しみです。
今回は根管治療後6ヶ月の状態を確認させて頂きました。
まずは術前のレントゲン写真です。
前歯側の根管は大きな病巣に囲まれている様な状態でした。
この歯は開業医さんの方で1度目の根管治療を受けるも状態が改善しなかったため大学病院を紹介されて、そこで2度目の根管治療を受けた歯です。
術後しばらくすると大きく腫れてきて膿の出口(一般的にフィステルと言われています。最近はそれをサイナストラクトと言う様になってきています)が再発してきた状態で来院されました。
レントゲンの状態から割れてきている可能性もあることを説明し同意を得てから治療を始めさせて頂きました。
ルールを守った根管治療を行っていき原因を探ると
分岐部(根と根の間)にパーフォレーション(ほぼ人工的な問題)があるのと、根の先が大きく壊れていました。
根の先の構造は非常に繊細で操作を誤ると0.15ミリの器具でも亀裂が生じると言われています。
亀裂が生じるとそこが細菌感染の温床になり難治性になることもあります。
これらの穴のリペア材として今回はMTAを使用させて頂きました。
根管充填直後のレントゲン写真です。
そこから6ヶ月後のレントゲン写真です。
だいぶ骨が出来てきていて順調な治癒傾向を確認することが出来ました。
我々歯科医師ができることは根管内の細菌数の減菌化です。
根管治療は常に細菌感染との戦いなので根管内に細菌が侵入しない様な状況で治療する必要がある(ラバーダムは必須)ことと、確認できる範囲にはなりますが根管内をじっくり観察しどこに原因があるかを調べていく必要があります。
闇雲に根管内を削って根尖(根の先)の形態を壊してしまっては治るものも治らなくなってきます。
今回は感染除去の観点からいけば良好な経過を得られてはいますが、これが歯の保存とイコールの関係かというと少し難しくなります。
これだけ中が大きく拡大されてしまっていると歯根破折のリスクが常に付きまといます。
歯の頭を作る際にも注意が必要になってくると考えています。
根管治療は何度も行える治療ではありません。
より少ない回数で歯に負担をかけない様にしっかりとした治療を受けられることをお勧めしています。
今回も長い時間お疲れ様でした。